『試行錯誤』は読む/書く人々の試行錯誤のための実験室です。
文芸に新しい視点をもたらす著者のエッセイや批評を集めています。
各連載は基本的に読み切りのため、どの号からでもお読みいただけます。
「私は寄稿者に一つのテーマを追究するなかで、鉱脈を掘りあててほしいと、ある時期以降伝えてきた。そのテーマが興味のすべてではないとはいえ、長い期間にわたってあるテーマを追究し、継続的に文章を書いていけば、自分がなぜそのテーマに惹かれるのかという根源にやがて触れるだろうし、自分こそが書くべくして書くものにも出会うだろう。私はそれを鉱脈と呼んでいる。そして、それによって書き進められた文章が読む者に何某かの作用を及ぼさないはずがないという確信があるからだ。」(巻頭言「鉱脈を掘りあてる」より)

目次
- 巻頭言 「鉱脈を掘りあてる」
- スズキナオ 谷崎潤一郎のことを考えながら散歩する「吉野で柚子を一つもらう」
- わかしょ文庫 大関の書いた小説を探して「伊勢ノ濱、復活なるか?」
- 伏見瞬 蓮實重彥論「蓮實重彥の「運動」をあらためて考える」
- 友田とん 取るに足らないものを取る「なんなら副産物狙いでも」
内容紹介
◎ スズキナオ 谷崎潤一郎のことを考えながら散歩する「吉野で柚子を一つもらう」
取材で幾度となく訪ねていた吉野へ、紅葉見物に行く。その直前に「吉野葛」を読んだ著者には、紅葉を眺めるほかにも目的があった……。訪ねた土地の人々との会話が魅力的。著者も読者も「吉野葛」に取り込まれていくような不思議な感覚に陥ります。
◎ わかしょ文庫 大関の書いた小説を探して「伊勢ノ濱、復活なるか?」
百年以上も前に活躍した大関・伊勢ノ濱が趣味で小説を書いていたことを知った著者は、近くの古本屋から都内へと探偵のようにその小説の行方を追いかける。(「大相撲観戦記」より改題)
◎ 伏見瞬 蓮實重彥論「蓮實重彥の「運動」をあらためて考える」
蓮實を論じる際に重要なのは「表層」よりも「運動」であり、運動を伝える鍵となるのは言葉の「リズム」「律動」であると著者は考える。では、蓮實は運動をどう捉えているか。『スポーツ批評宣言』『ハリウッド映画史講義』を参照しながら、蓮實にとっての運動を明らかにしていく。
◎ 友田とん 取るに足らないものを取る「なんなら副産物狙いでも」
地下鉄の漏水対策、皇室献上桃詐欺事件、読むと肩こりが治る小説などなど、『試行錯誤』を通じて、くっきりと浮かび上がってきた興味の対象をブレインストーミングのように次々と綴っていく。
書誌情報
定価 1,000円+税
文庫判72頁、並製本
表紙用紙:上質紙110kg 、本文用紙:上質紙70Kg
発行年月:2025年2月
発行所:un poco / 代わりに読む人
発行部数:300部
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