新・しるもの日記(5) 友田とん

2020年4月27日〜5月3日

4月27日(月)

 夕方になると体調があまり良くなく、なかなか仕事に集中できない日々がつづく。悶々としたまま、一日を終える。夜、母が送ってくれた料理で筍づくしで気持ちを上げる。味噌汁はネギと豆腐としいたけで。だいぶ暖かくなってきたからか、ビールがおいしい。

4月28日(火)

 あと一日で祝日というところで踏ん張り、大した踏ん張りでもないが、踏ん張った結果遅くなり、夜遅くにビールと筍の煮物をさいの目に切って木の芽味噌で合える。これとビールだけ飲んでいい気持ちになりながら、HIMOJIMOJI 10周年インスタライブや、関西の本屋さんたちのオンラインイベントを聴く。聴いているうちに酔っ払ってしまい、小松菜と油揚げの味噌汁を飲んで寝る。今日は本を読んでいない。

4月29日(水)

 疲れていたのか朝だいぶ遅くに起きる。こうなると週2回の可燃ゴミが出せないから困ったことになる。だいぶ暖かい気候になってきたし、次回は逃さないようにしないといけない。

 日中、この連休でやりたいことを書き出し、まずは目下本を読む。夕方、食材や文房具を買いに街に出て、帰ってきて田野大輔『ファシズムの教室』を読む。

 そういえばまた目黒のとんきでトンカツ食べたいなと思い調べたらしばらく休業とのことで、それほど飢えていたわけではなかったが、そういえばと田中功起『必然的にばらばらなものが生まれてくる』(武蔵野美術出版局)を本棚から取り出し、「とんかつ定食を頼むところからその食事が終わるまでの間、ライブを行う」というパフォーマンスについて書いた「とんかつを食べる」を読んでいるうちに、脳内に「トンカツ♪トンカツ♪」と聞こえる気がして、夕飯はとんかつを買い求める。味噌汁はかぼちゃとカブを実に。(編集部注:5月13日から当面、テイクアウトのみで営業再開とのこと。詳細は直接ご確認ください)

 ご近所の竹田さんが「しししし3」を持ってきてくださる。私も「私の応援狂時代」という20枚程の小説を寄稿させていただいた。実家が印刷業を営んでいた「私」が大学で六大学野球の応援に魅了されていった記憶についての小説です。機会があれば読んでいただけるとうれしいです。行商や文フリなどのイベントに出た時用にまとまった冊数を仕入れたが、しばらくは出番はなさそう。できればそれぞれの近くの本屋さん、いつもお使いの本屋さんで買っていただくのがよいと思う。

4月30日(木)

 朝、ルイスキャロルの『不思議の国のアリス』の残りを読む。「しししし3」をすこしパラパラと読む。サリンジャー特集はそれぞれの方のサリンジャーとの接点が書かれていてとても面白い。午後、パリ闊の続きを書く。書くために読む。今日は5枚。今夜のみそ汁はカブ、カボチャ、豆腐。

5月1日(金)

 午前ははWordPressのテーマを引き続きいじっていた。それから「しししし3」を読んだ流れで本棚の前に立ち、買ったままになっていた岸政彦『はじめての沖縄』(新曜社)をすこし読む。境界を越えた交流が感動を呼ぶのは、そもそも境界があるから。境界や分断を作り出した側がそれをなかったことにするのはできないというようなことが書かれていて、なるほどその通りだと思った。

 気づいたら昼過ぎになっているのはなぜなのか。

 朝食時だったか録っておいたサラメシを見ていたら、鍋一つで作れるナポリタンというのを紹介していて、真似して作ってみたら、簡単でおいしかった。また作りたい。『パリ闊』のつづきを書いた。今日も約5枚。

 夕方、散歩に出かけて帰りに新聞を買って帰る。極力人混みを避けるために、駅の近くをぐるぐると環状線のように、あるいはロールケーキのように歩いていく。ネットを見るより、冷静にそして継続的に情報が得られるのではないか(もちろん、それだけを信じ切るわけにもいかないが)。前にも書いたような気もするが、もう次のBRUTUSが出ていた。日の経つのの速さをBRUTUSで感じる。居住空間特集。

 むかで屋BOOKSさんからZINEが届く。どんな時にも人々が自由に表現し発信する機会は開かれていていいんだということを人々に伝えたいとあった。そして、それを早速実践するZINEである。流石だと思った。頭が下がる。

 夜、豚肉とナスのコチジャン炒め、カブと椎茸と豆腐の味噌汁。

5月2日(土)

 朝起きて、本屋lighthouseの関口さんに「灯台より」増刊号のレイアウトの返信をする。WEB連載「うろん紀行」のページを作る。日が暮れてきたのでここで時間切れかと思ったが、ポモドーロタイマーをもう1ターンセットして、「パリ闊」もいくらか書き足し、今日は3枚。

 夜になってから家を出て、商店街を通ると20時でも深夜のようだ。フライパン一つでトマトクリームパスタを作った。これも汁ものだけど、大根と豆腐、椎茸のみそ汁も飲んだ。食後、本を読んで寝る。

5月3日(日)

 起き抜けにコーヒーを入れて飲む。とてもおいしく入っていて、体に染みる。1日の間にやりたいことを書き出す。最初に昨日くらいから読みはじめた『パリ警視庁迷宮捜査班』(早川書房)を少し読む。それから、『パリ闊』を書く。今日もポモドーロタイマーを使って。新・しるもの日記を更新し、14時をすぎてからとても遅い朝食を取る。ベーコンとスクランブルエッグといちごとトースト半枚。私は本当に朝食が好きだと思う。ずっと三食、これを食べていたいとイギリスに行った時も思った。

 午後(といっても夕方近い)はもう何も書いたりしないと決めて、テレビをつけると、藤山一郎の歌声、長崎の鐘。朝ドラのモデルになった作曲家・古関裕而のドキュメンタリーを再放送していた。小さい頃から、私は藤山一郎の歌が好きだった。あまりに年寄り臭い趣味のため、家族にはやめなさいと言われていた。気になって調べてみたら知っている応援歌もずいぶんと古関裕而によるものだった。それから、古賀政男。大学野球にハマったのはずっと後のことだが、ひょっとして私は古賀メロディや、古関メロディによって、応援にハマっていたのかもしれない。

 電車や人の多いところは避けつつ、でも近所だけではなんだか飽きてきたので、人と接触せぬように歩いて下北沢まで行った。往復12キロはさすがにヘトヘトになった。坂を上り下がりすると、何か昔の村から村へと徒歩で行くのがあたりまえだった時代の人々の記憶が蘇るような気がした。とつぜん下北沢の商店街が見えた時は、文明を再発見したような新鮮な感覚に襲われた。人類は生きていた。

 ミスドのドーナツを買って帰り、夜は沖縄料理店からテイクアウトしたゴーヤチャンプル、味噌汁は大根、豆腐、しいたけで白味噌多めに。

◆お知らせ◇ 本屋発の文芸誌「しししし3」(双子のライオン堂)に初めての小説「私の応援狂時代」を寄稿いたしました。ぜひお読みいただければうれしいです。お近くの書店でお求めください。購入はこちらから(→ 双子のライオン堂代わりに読む人

著者紹介:友田とん(ともだ・とん)京都府生まれ。可笑しさで世界をすこしだけ拡げるひとり出版レーベル・代わりに読む人 代表。著書に『『百年の孤独』を代わりに読む』『パリのガイドブックで東京の町を闊歩する 1』(代わりに読む人)。