新・しるもの日記(4) 友田とん

2020年4月20日〜4月26日

4月20日(月)

 薬が切れていたので昼休みに医者に電話。診察せずに処方箋だけ出してもらえるか確認すると、近ごろ空いてるので処方箋のついでに診察もきっとできますよということで、確かに行ったらガラガラだった。

 夜、大根と春菊のみそ汁、白味噌を多めに。家にある食材は同じでも、味噌の配合を変えるだけでいろいろな味を楽しめる。

 部屋にダイニングテーブルを買って、食事も作業も全部その上でやってしまいたいと思っていて、そういえば、しばらく前にNHKの「ネコメンタリー」で観た岸政彦さんの家のダイニングテーブルがとても広々として素敵だったことを思い出し、録画を見返してみた。ああいうテーブルがいい。送った瞬間に原稿の著者確認が返ってきた。見習いたい。

4月21日(火)

 AIを進化させるのでもなく、また否定するのでもなく、AIによって人の暮らしや考え方がどのように変わるのかを考えたい。テクノロジーで働いている人に比べて、テクノロジーによってどう変わっていくのかを考える人が少ないのではないか。ということでもなかった。ただ単純に私はそういうことがやりたい。

 昼にtoi booksさんから本がどっさり届いた。夕方、仕事の後、一度食材を買い出しして、返ってきてから、やらなきゃいけないことを一気にやる。合間にダミエも食べる。原稿の修正指示を書いてメールを書いて送る。出荷準備をする。

 夜、急遽友人とさしでオンライン飲みをする。楽しい。刺身と炒め物とみそ汁で酒を飲む。みそ汁の実はネギと豆腐のオーソドックスなもの。

4月22日(水)

 なにがあるわけでもないが、休みをとる。朝起きなくてもよいということが、とてもよい。

 休みを取って、松本清張の初期の短編を読んでいた。なぜこんなに私は松本清張に惹かれるのか。権威とか真正性というものへの憧れというのか、到底そこへは到達できないという諦念というのかがある。

 ちょっとした企画を思いつき、レイアウトしはじめる。

 在宅で、外出自粛が言われていると、実は仕事は休みにくい。どうして今休むのと言われるわけではないが、不思議と休みにくい。どこかへ出かけなければならないはずもなく、ということかもしれない。そこをあえて、休みますと理由を言わずにただ休む。そうしていきたい。

 夜は、休みの日のちょっとしたお楽しみで、トンカツ。カブと春菊とサツマイモと豆腐のみそ汁。サツマイモを入れると甘めになるので、味噌はしょっぱめの信州味噌一種。

4月23日(木)

 Titleからも本が届いた。「ことばと」「やさしくなりたい」など。「 100分de名著「全体主義の起原」」を今さらながら見はじめる。夜はカレーを作り、キャベツと油揚げのみそ汁。糖質制限をかれこれ5ヶ月やっているので、あまり米を大量には食べない。これも普通よりはかなり少ないが、それでもいつもより多めに米を食べたら、猛烈な睡魔が襲い、そのまま眠ってしまった。

 夜中に起きだして、風呂に入り、何かもったいない気がして、それから「ドゥルーズ 解けない問いを生きる」をいくらか読みすすめる。

4月24日(金)

 何かやらなくてはいけないことをやっていないという恐怖で明け方目が覚める。たぶん、夢で寝ぼけていただけだが、ときどきこれがある。

 昼は昨日作ったカレーを食べる。金曜日の昼はカレーを食べるなどと決めておくと、曜日の感覚が鈍らないという軍隊の洋上での知恵を真似して、金曜日の昼はカレーにしてみた。木曜の夜に作ったので、木曜の夜もカレーだったわけだが。

 夜、柿内さんから『プルーストを読む生活2』がたくさん届く。「解説」なるものを書かせていただいた。大好きな本なので、だからこそどうやったら解説を書けるのかかなりもがきました。少しでも何かの役に立っていれば幸いです。

 今日は松岡正剛『多読術』を読み返した。そういえば、松岡正剛のように、最近読んでいる本に書き込みしながら読んでいた。書き込みしながら読んでいたから、昔読んだこの本が本棚で目に留まったのだったか。それとも逆だったか。どうだろうか。

4月25日(土)

 体も動かしていないし、それほど猛烈に働いているわけでもないのに、よほど疲れていたのか、10時間くらい寝た。精神と肉体の使い方のバランスが崩れていると疲れやすいようだ。

 『ドゥルーズ 解けない問いを生きる』で「世界は卵である」という考えについてどのような形にもなれる潜在性という説明を読んでいた。朝食のために卵をフライパンに割り入れる時に黄身を傷つけてしまい、ゆっくりと目玉焼きの黄身が白身の上を拡散していった。ただじっと眺めていた。こういうことだなと思った。

 『ドゥルーズ 解けない問いを生きる』を持って散歩に出る。こんなことでもなければ、家の近所の公園とか、駅の反対側の公園とか、細い路地とかをくねくねと歩くことはなかったと思うといいこともある。帰りに昼を買って帰る。

 柿内さんから届いた『プルーストを読む生活 2』をTwitterで紹介すると早速購入してくださる方がいた。ありがたい。

 夕食の味噌汁は大根と春菊と油揚げで。深夜、突然思い立ってぐりとぐらのカステラを焼く。小さなオーブンにフライパンが入らないので、グラタン皿で。泡だてが十分でなくて、ちょっと中途半端な膨らみだった。

4月26日(日)

 コーヒーを入れて中途半端に膨らんだカステラを適当につまみながら、日記を更新して、出荷作業をして、『ドゥルーズ 解けない問いを生きる』の続きを読み、また散歩に出かけて、夜はかぼちゃと小松菜と豆腐の味噌汁。

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著者紹介:友田とん(ともだ・とん)京都府生まれ。可笑しさで世界をすこしだけ拡げるひとり出版レーベル・代わりに読む人 代表。著書に『『百年の孤独』を代わりに読む』『パリのガイドブックで東京の町を闊歩する 1』(代わりに読む人)。