しるもの日記(7)
6月29日(土)〜7月5日(金)

6月29日(土)

結構寝たはずなのに、起きるなり体がくたくたで何もできない。何かしらはしていたはずだが、そのことを書いている今も、何をしていたのか思い出せない。

何かやさしいものが食べたい。澄んだチキンスープとか、スープに麺が入ったやさしいものが、ということで思いついたのがフォーだった。そう言えば、学大にスタンド・バイン・ミーという店が駅の反対側にあるとこないだ知り、だから本来はバインミーの店かもしれないが、ベトナム料理なのでフォーもある。そこでフォーを食べてから、納品に行こうと思った。だが店の前まで辿りつくと行列になっていた。仕方なく駅前のマックで昼食をとり田原町へ向かう。

田原町のReadin’Writin’ BOOKSTOREの落合さんと来週のイベントのお話を少しさせていただいてから、蔵前のHABに納品に行く。『パリのガイドブックで東京の町を闊歩する 1』はとても小さくて軽いので、100冊くらい余裕だろうと思って家を出たが、さすがに100冊はきつかった。いろいろおしゃべりして、長居する。

対談の原稿に赤を入れていたら遅くなったので、サイゼリアで夕飯を食べる。今日の汁ものはミネストローネ。

6月30日(日)

朝、しるもの日記をアップする。依然として1週遅れである。材料がないので、インスタントのしじみ汁を朝から飲む。体が動き出す。

秋田麻早子『絵を見る技術』(朝日出版社)を読み終えた。絵画についてはぜんぜん知らないので、この本はとてもよかった。絵を漫然とみるのではなく、見る観点をいくつも持っておくことで、多くの気づきがあり、自分がなぜ美しいと思うのかわかったりする。目に入っているだけだったものが、きちんと見えるようになる。そういう方法を説明してくれている本だった。

著者のプロフィールに「名画を自分の目で見る方法を広めることで、人々が自分の言葉で芸術や美について語れる世の中にするのが目標」とあり、またルーベンスの娘の肖像画について述べた以下の一文で一気に著者への興味が湧いた。「活力みなぎる肉体表現は大がかりな歴史画や祭壇画で発揮されていますが、その技量を、身近な小さな存在を描くのに注ぎこむという、才能の無駄遣いとも言えるギャップに魅力を感じます」 才能の無駄遣い!と思った。そう、才能の無駄遣いがいいんだよと思う。

昼に整体をしてもらいに行き、それからときわ台にある本屋イトマイを訪ねる。階段を上ると、奥に向かって本屋さん、振り返ると喫茶という形になっており、さらにハシゴを上ると、ロフトみたいな席もある。本をしばらく眺め、好きだなと思い、喫茶に入る。まずはピザトーストを食べ、チーズケーキを取り置きしてもらい、黙々と堀越孝一『パリの住人の日記 1』を読む。訳文の文体と膨大な訳注の饒舌さがたまらない。歴史の背景をよく知らないのですべてがわかるわけではないのだが、この文体が心地よく、それだけで黙々と読んでしまう。いい本に当たったと思う。

夜、帰りに池袋のジュンク堂書店に立ち寄ると、先日お送りした手書きポップを貼っていただいていた。感謝。帰宅して、玉ねぎと油揚げのシンプルなみそ汁を飲む。夕方から熱っぽかったのだが、帰りは若干寒気がした。明日は寝込んでしまうんだろうかと思いながら、床に着いた。

7月1日(月)

夜、『『百年の孤独』を代わりに読む』の正誤表をつくる作業をする。去年、出版してすぐの頃に誤植を嘆いていたら、知人が「正誤表をつくって公開するといいですよ」と勧めてくれていたものの、後回しになっていたのだ。なかなか作業に取りかかれなかったのだが、こないだ、Acrobat DCにPDFの比較という機能があることを知り、これで一気にやってしまおうと思った。初版と2版のトンボをつけない形でPDFをつく直した。だが、比較してみたところ、修正箇所以外も抽出されてしまうのだ。困った。1段落分くらいの塊で「削除」と出ていて、同時に同じように見える1段落分くらいが塊で「挿入」と出ていた。なので一つずつ確認し、リスト化した。本とリストを今度は並べて、一つずつ再確認。正誤表が間違っていたというような事態は絶対に避けないといけない。うとうとしてきたので、諦めて寝る。

7月2日(火)

夜、再び正誤表。本とリストを照合して、正誤表の形に整形し、「代わりに読む人」のサイトで公開した。どうしてもこの正誤表をつくらないうちは、次の増刷はする資格がないと思っていたが、正誤表を作成し、2版1刷の誤字も反映できたし、資金のことも目処がたったので、ここで2版の第2刷をいくらか発注した。もう、これはどれだけ買ってもらえるかわからないのだが、それでも今現在完結した作品として読んでもらえる私の本はこれ一冊なので、いつでも興味を持ってくれた人の手に入るようにしておきたいという気持ちがある。そうしないと、家には本の在庫がほとんどなく、Tシャツ屋みたいになってしまうので。だが、最後の瞬間まで刷り部数で迷った。

7月3日(水)

早朝、つらさを桃でごまかす。在庫状況の確認のメールを委託販売していただいている本屋さんにお送りする。

夜、新宿に出て一年ぶりくらいに服を買い、そして何を食べようかなと思って、重たいものはいやだな、そうだ草枕、行こう。となって調べたらまだ開いていたので、草枕に行った。ひさびさの草枕は相変わらずのうまさ。(ラッシー券は持ってなかった)

夜、仙台のあゆみBOOKSでも『パリのガイドブックで東京の町を闊歩する 1』の取り扱いがはじまったというツイートを読む。ありがたい。去年足を運んだのが、1年経って結実した。行っておいてよかった。

7月4日(木)

夜、帰ってからスリップのデータに不備があったので、修正して印刷会社さんに送信する。本がもっと読みたい。

7月5日(金)

帰りにビールを飲まずにはいられず、新宿のシネマカリテの入っているビルのKIRIN CITYでビールを飲んで帰る。ビール2杯でさっと切り上げて、家でコーヒーを入れてデニス・ジョンソン『ジーザス・サン』の続きを読んでいる。本はまた少し読む余裕が出てきた。問題は汁ものだ。