しるもの日記(12)
8月3日(土)〜8月9日(金)

8月3日(土)

ニコルソン・ベイカー『中二階』(白水社)を読み終えた。靴ひもが切れてしまった語り手が昼休みにオフィスを出て靴ひもを買って戻ってくる。その過程でエスカレーターや牛乳パック、日常のあらゆるものに脱線し考察する。あまりに深入りする考察に笑った後、なぜか物哀しさが残る。とてもよかった。

代わりに読む人の読みもの第1弾である、わかしょ文庫さんの「うろん紀行」を最終調整して公開する。自信を持ってオススメできる内容なので、多くの人に読まれてほしいがどうだろうか。夜は恵比寿に飲みに行った。ベトナム料理がおいしかった。

8月4日(日)

夕方、涼しくなった頃に双子のライオン堂に行き、大槻香奈さんの原画の展示を見る。『しししし2』の表紙で見てすごいと思っていたが、さらに実物は立体感や奥行きがある。とある一枚に一目惚れして原画集を買い、サインしていただく。

帰宅後、ご飯を作ってからジョギングに出かけた。ジョギングば実に半年ぶりだ。ちょっとした距離だが、体を動かし、汗を流すと清々しい。また少しずつ距離を伸ばしたいと思う。

8月5日(月)

体を動かしたからか体が軽く、疲れが抜けた感じがする。帰りに新宿のタワレコでイ・ランの東京でのライブを収録したアルバムを買う。棚を探してレジに持っていって購入し帰ろうとしたところ、レジ前にデカデカと展開しているのを見つけて笑った。

帰ってきて、お酢の炭酸水割りで夕食ののち、出荷作業をする。しかし、伝票を出したところで眠ってしまい繰越。

8月6日(火)

仕事の帰りに耳鼻咽喉科に行く。喉がおかしいので心配していたが、なんともなかった! ただ熱っぽい。『街灯りとしての本屋』(雷鳥社)を購入する。帰宅後、大根と油揚げの味噌汁、鰹のたたきの食事をとり、出荷ののちイ・ランの『悲しくてかっこいい人』(リトルモア)を読む。今週末に数日、自宅で小説合宿の予定なのだが、小説の視点、話者の立場をようやく思いつく。これでうまくいくような気がしてきた。ここがもう一年以上ずっと出来なかった。

なぜそんなことをしてしまうのか、一人称で語り出せないなら、他者を語り手にして、「どうしてだろう?」と考えるのがいいのかもしれない。ボラーニョの短編と、コルタサル『南部高速道路』を読み返したい。

「うろん紀行」の評判がかなりよく、私は編集しただけだが(ほとんど何もしていない)、自分の書いたものの時以上にうれしい。もっと読まれてほしい。

8月7日(水)

1日黙々と働いた。帰りにコーヒー豆を買いに行き、帰ってきてから本を読む。

8月8日(木)

泊まりがけでちょっと遠出。おいしいものを食べ、温泉にもつかった。温泉に来るとつい可能な限りの回数温泉に入ってしまう。貧乏性なんだと思う。

8月9日(金)

夕方、ポルベニールブックストアに立ち寄る。帰りに大船駅近くの商店街でよさそうな桃が随分安かったので、一盛り買って、ラッシュの電車で潰れないように気をつけながら帰る。駅前でケーキを買い、帰宅後とんかつ用のロース肉を焼きワインビネガーでじゃがいもと絡める馬田草織流ポルトガル料理(『ポルトガルとごはんとおつまみ』(大和書房)参照)。ポテトはお腹いっぱいになるのと、家になかったので一緒に炒めるのは玉ねぎで作ったが、そういえば、ポルベニールブックストアでジャガイモをもらってくればよかったと思ったのだった。

わかしょ文庫さんのWEB連載「うろん紀行」がはじまりました。ぜひこちらもお読みください。

著者紹介:友田とん(ともだ・とん)京都府生まれ。可笑しさで世界をすこしだけ拡げるひとり出版レーベル・代わりに読む人 代表。著書に『『百年の孤独』を代わりに読む』、『パリのガイドブックで東京の町を闊歩する 1』(代わりに読む人)。